心臓病治療について

心臓病治療

心臓病と言ってもたくさんの種類の心臓病があります。様々な検査を行うことによって、 心臓のどこが悪いのかを見つけ出し、治療を行う必要があります。治療には内科的治療と外科的治療がありますが、 外科的治療には人工心肺を使った体外循環によるものと、体外循環を行わずに開胸手術をおこなうもの、 そして開胸せずにカテーテルを使った低侵襲のインターベンションがあります。 動物にとってどの治療がベストなのかを常に心がけています。

心臓病の兆候

心不全などの心臓病になると、下記のような症状が現れます。

  • ・咳が出る
  • ・散歩や運動をしたがらない
  • ・すぐ疲れる
  • ・失神を起こす
  • ・安静にしているときも呼吸数が多く苦しそう
  • ・お腹が膨らんでくる(肝臓の腫大、腹水の貯留による)
  • ・舌や口の中の粘膜が紫色になる

上記のような症状が見られる場合、これらは心臓病の重要なサインである可能性があります。動物は言葉を話せません。

大切なのは飼い主が気付いてあげることなのです。少しでも早く症状に気付き適切な処置をとれば、心臓病の進行を遅らせ、 長生きしてもらえるようになります。自己判断をせずに、少しでもいつもと違う様子の場合はご相談ください。

詳しい症例について

  • 肺動脈弁狭窄症(PS)とは、肺動脈弁が狭くなることにより、肺に血液が流れにくくなって、 右心室の圧負荷が増大する病気です。継承の場合には雑音があるだけであり、手術の必要はなく、多くの場合は、 無症状で長く経過するとされています。しかし、重症の場合は、突然死する場合があるため、手術が必要になります。 手術には人工心肺を使った体外循環で心臓を止めて行い、肺動脈を切開して拡張する方法と、 後肢の大腿静脈または頚部の経静脈からカテーテルを挿入してバルーンを膨らませて拡張させる インターベンションがあります。どちらを選択するかは狭窄部位と動物の状態によって異なりますので、獣医師とご相談ください。

    点線部分が狭窄した肺動脈

    狭窄した肺動脈

    バルーンで肺動脈を拡張

    狭窄した肺動脈での血液の乱流

  • 動脈管は、子犬や子猫が母親のお腹の中にいる時に必要な血管で、肺動脈と大動脈をつなぐ小さな血管のことをいいます。 胎児期には肺が動いていないため、肺にはあまり血液を流す必要がありません。ですから動脈管は、肺には血液を流さず、 全身に新鮮な血液を流すために必要となります。しかし、子犬や子猫が生まれ、肺で呼吸をするようになるとこの動脈管は 必要がなくなるため、生後1~2日ほどすると完全に閉じてしまいます。 動脈管閉存症(PDA)とは、動脈管が自然に閉じずに残ってしまう先天性の心臓病です。 約70%の症例が18か月以内に死亡することから、早期に治療する必要があります。 治療には胸を開いて動脈管を直接結紮する方法と、後肢の血管からカテーテルを挿入して動脈管を閉塞させる方法があります。

    点線部分が動脈管

    動脈管を結紮する様子

    アンプラッツァ設置後のレントゲン写真

  • 心臓病と言ってもたくさんの種類の心臓病があります。様々な検査を行うことによって、心臓のどこが悪いのかを見つけ出し、 治療を行う必要があります。治療には内科的治療と外科的治療がありますが、外科的治療医は人工心肺を使った体外循環によるものと 体外循環を行わずに開胸手術をおこなうもの、そして開胸せずにカテーテルを使った低侵襲のインターベンションがあります。 動物にとってどの治療がベストなのかを常に心がけています。

    体外循環

    心房中隔欠損症、心室中隔欠損症などの先天性心疾患と慢性の僧帽弁閉鎖不全症に対しては 心臓を止めて整復手術をおこなう必要があります。しかし、その間にも全身の臓器に血液を送り続けなくてはなりません。 そのため体外に人工心肺を設置し血液に酸素を与え、全身に循環させながら心臓の手術をおこないます。

    インターベンション

    動脈管閉存症、肺動脈弁狭窄といった先天性の心疾患では太ももの血管(大腿動脈や大腿静脈)や首の血管(頸動脈や頸静脈)から AMPLATZER(アンプラッツァ)やバルーンカテーテルといったデバイスを挿入し、X線透視装置のもとで治療を行います。 傷口はわずか2~3cm程のみになりますので、体にも負担が小さい手術になります。

  • 概要

    僧帽弁(mitralvalve)とは左心房と左心室の間にある、大きく2枚からなる弁のことです。 僧帽弁逆流症(僧帽弁閉鎖不全症)とは、この僧帽弁の閉鎖機能が悪くなり、本来の血液の流れとは逆に、 左心室から左心房に血液が逆流してしまう状態を指します。

    僧帽弁逆流症

    原因

                       

    僧帽弁自体やそれを支える腿索の断裂や過長によって逆流が生じる場合や、左心室が拡大し、 二次的に弁の逆流が起こることがあります。

    症状

    病気の原因や重症度、発祥の仕方によって症状はさまざまですが、基本的に初期は無症状で経過することが多く、 進行して心臓や肺に負担がかかると、発咳や運動不耐性(散歩に行きたがらなくなったり、疲れやすくなったり、寝ていることが多くなる) などの心不全症状が出現します。僧帽弁閉鎖不全症により心房細胞(脈が不規則になる不整脈)が起きる場合もあり、その際には失神発作を起こすこともあります。 無症状で発見される場合としては、聴診で心雑音の異常やレントゲンでの心拡大を指摘されることがあります。

    診断

    確定診断は主に経胸壁心臓超音波検査によって行われます。経胸壁心臓超音波検査は体の表面から行う検査で 動物の負担も少なく、繰り返し行うことができるため、診断や病気の進行を知ることも可能です。 心臓超音波検査によって観察する項目としては、弁自体の症状(大きさ、長さ、石灰化などの硬さ)、逸脱の有無、 接合、逆流の向きや程度、左心室の収縮する力や左心室の大きさなど多岐にわたり、これらの情報を統合して僧帽弁逆流症の 原因や重症度を判断します。

    治療

    僧帽弁閉鎖不全症の治療には内科的治療と外科的治療があります。 内科的治療では、心臓の負担を軽くするだけであり、決して病気を治すという事にはなりません。 したがって、お薬を飲んでいても僧帽弁閉鎖不全症は進行していきます。しかし、薬を飲まなければどんどん 病気が進行していきますので、病気の進行を遅らせるのが内科的治療になります。 外科的治療では、胸や肋骨を切開して心臓を露出し、僧帽弁を治療します。僧帽弁を修復するためには心臓を 止めて行う必要があります。しかし、心臓は常に動いて全身に血液を送らなければならないので人工心肺を使って 心臓を行う必要があるため、かなり大がかりな手術になります。僧帽弁形成術はどの僧帽弁逆流症にもできるわけではないので、 獣医師とよく相談する必要があります。

  • 概要

    三尖弁とは、右心房と右心室の間にある弁です。血液が全身→右心房→(三尖弁) →右心室→肺→左心房→左心室→全身と循環する中で、三尖弁は右心室から肺に血液が送り出される際、右心房に血液が 逆流しないようにする役目を持っています。この弁がきちんと閉まらなくなると一部の血液が右心房に逆流する為の 右心房に負担をかけ、更には右心室にも負担を掛けます。これが三尖弁閉鎖不全症の病態です。

    原因

    弁そのものの構造異常による一時的なものと、弁そのものは正常にもかかわらず、右心室の収縮期圧の上昇によって起こる                     二次的なものがあり、頻度としては後者が圧倒的に多く認められます。前者の構造異常では感染性心内膜炎、Ebstain(エブスタイン)奇形という 先天性奇形、三尖弁逸脱症などがあります。 一方、後者の二次性のものとしては、僧帽弁閉鎖不全症など他の弁の異常や肺高血圧症などにより 右心室に負担がかかるため起きる場合があります。

    症状

    軽度・中等度の三尖弁閉鎖不全では症状はほとんどありませんので、聴診や心エコー図検査で たまたま見つかることも少なくありません。重症になると右心不全症状が出現します。具体的には四肢のむくみ、 経静脈の怒張、肝臓の腫れ、腹水などが出現します。さらにチアノーゼ、黄疸、体重減少が認められます。 肺高血圧症があると症状はさらに悪化し、失神などを引き起こすこともあります。

    診断

    聴診で本症に特徴的な心雑音を認めます。三尖弁閉鎖不全症が疑われた際は心エコー図検査が負担も少なく診断に有用です。 三尖弁の形態が観察できるため、心奇形の有無、弁輪拡大、弁逸脱など閉鎖不全症を起こしている原因も診断できます。 逆流の重症度は、心エコー図で血流速度・方向を色で示すカラードプラ法を用いてその広がりと程度によって評価します。

    治療

    自覚症状のない軽度の三尖弁閉鎖不全症では特別な治療は不要です。 四肢のむくみ、経静脈の怒張、腹水などの右心不全症状が出現してきた場合は、内科的治療として 利尿を増加させる利尿薬の投与などを行います。三尖弁閉鎖不全症はその原因によって治療方針が大きく異なるので、 原因の追究とその治療が重要です。

  • 概要

    肥大型心筋症とは、心肥大をおこす原因となる高血圧や弁膜症、甲状腺機能亢進症などの内分泌疾患がないにもかかわらず、 心筋の肥大がおこる病気で、左室心筋の異常な肥大に伴って生じる、左室の拡張機能(左心房から左心室へ血液を受け入れる働き)の障害を主とする病気です。 本症の心肥大は、通常その分布が不均一であることが特徴的で、肥大の部位・程度や収縮の程度などにより収縮期に左室から血液が出ていく部位(流出路)が狭くなる場合があり、 そのような場合は閉塞性肥大型心筋症と呼ばれます。これに対する非閉塞性肥大型心筋症の他、心尖部肥大型心筋症、心室中部閉塞型心筋症、拡張相肥大型心筋症などのタイプに分類されます。 この病気は犬よりも猫に多く見られ、特にメイン・クーン、スコティッシュ・フォールド、アメリカン・ショートヘア、ラグドール、ペルシャ、ノルウェージャン・フォレストキャットなどの種類に多く発生します。

    原因

    遺伝的原因が関与すると言われていますが、遺伝以外にカテコラミンの過剰生産やそれに対する心筋の感受性増大、心筋虚血や栄養障害も原因の一つとして想定されています。

    症状

    うっ血性心不全がない状態では、無症状ですが、うっ血性心不全になると、運動不耐性、呼吸数の増加、食欲の低下などがみられます。 左心房が大きくなると肺水腫や動脈血栓塞栓症などを引き起こすことがあり、死に至ることがあります。

    診断

    診断には心エコー検査が有用で、左室肥大の程度や分布、左室流出路狭窄の有無や程度、心機能などを知ることが出来ます。

    治療

    無症状で、心臓に負担がかかっていない場合は、無治療で経過観察になります。心臓に負担がかかってたり、うっ血性心不全の状態があれば内科的治療が必要になります。 内科的治療が必要かどうかは検査結果によって判断いたしますので、獣医師にご相談ください。

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